入院手記まとめ(後編)【甲状腺内視鏡手術】

手記後編です。

今後手術を受ける方がイメージしやすいように、より詳細に書いています。

(やたら長くなりました、すみません)

需要があるかはわかりませんが、自分は他の患者さんのブログで相当イメージトレーニングしたので...笑

 

 

 

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【術後当日】

「XXさん、終わりましたよ」と声をかけられて目が覚める。

思っていたより寝覚め(?)は良く、(よく寝た!!)という感覚。

ただ頭が回っていなくて、自分が何をしていたのか数秒思い出せなかった。

 

手術が終わったのだと正確に認識できた頃、

看護師さんに「気分は悪くないか」と聞かれ

車酔いの時のような気持ち悪さを自覚する。

申告すると、「ごめんね、今から移動するからちょっと我慢してね」と言われ

気持ちが悪い状態のまま、ベッドに移され病室に戻される。

(この時点で吐き気止めが入っていたか分からないものの、少なくとも効いてはない)

 

病室に戻り、自分の状況を把握する。

時刻は17時半、手術には3時間弱かかったようだった。

左手に点滴、首元にドレーン(傷口から血などの廃液を排出するための管)、尿道カテーテル、口元に酸素マスクがついている。

とてもじゃないけど動ける状態ではない。

物理的には可能かもしれないが、管が抜けたら怖いし身体がだるくて動く気にもならない。

ドレーンの廃液が溜まったものが胸元に置かれていた。

裸に浴衣を直接着ているので、溜まった廃液の生温かさを直に感じる。

肌に伝わる温度から、自分が生きているということをまざまざと実感した。

 

 

術後6時間までは水も飲めないから、ここからが堪え所だ、と覚悟を決める。

痛みは強くないものの、不快感や動けないことから、熟睡することは難しい。

 

朦朧としながらも看護師さんにお願いして

イヤホンを挿したスマホを右手に、ナースコールを左手に握らせてもらう。

自分の好きな音楽を再生して、なんとか苦しさから意識を逸らせる。

 

途中、定期的に看護師さんが来て、

点滴の交換や溜まった廃液の処理、温かいタオルでの身体の清浄などをしてくれる。

その度に目が覚めるので、浅く短い眠りと覚醒を繰り返した。

 

そうこうしているうちに6時間が経過した。

看護師さんに水を飲むか聞かれ、即答でお願いする。

ベッドを起こしてもらい、コップからストローで水を飲ませてもらう。

23時間ぶりに口にした水は、人生で一番おいしく感じた。

ついでに酸素マスクもとってもらえたので不快感が1つ軽減した。

 

【術後1日目】

朝を迎えた。尿道カテーテルが抜けるそうだ。

看護師さんに「抜く時は痛いですか?」と聞くと

「そうでもないはず」との返答だったが、しっかり痛かった。

咽頭ファイバースコープの次に痛い。

(「お姉さんは尿道に管を入れた経験はありますか?その上での返答でしたか?」

と聞いてみたくなったがセクハラになりかねないので自制した。)

 

カテーテルがなくなったことで歩けるようになった。

17時間ぶりに立ち上がると傷が痛くて驚いた。

入院前は基本毎日出社していたが、

退院してすぐその日々に戻るのは難しいのではないかと感じた。

幸い、私の仕事はリモートワークが可能なので

退院後はしばらくリモート多めにさせてもらおうと思った。

 

点滴が終わり、管が抜かれた。

朝8時、38時間ぶりに口から栄養を摂る。

朝ごはんは主食こそ粥だったものの、おかずが結構ボリューミーで驚く。

(これは『食わねば回復しないぞ』というメッセージなのか?)と思い

頑張って8割ほど食べた。

しかし下膳の際に看護師さんに「こんなに食べられたんですね!」と驚かれたので

標準ノルマではなかったらしい。

傷が痛むので食後に痛み止めをもらった。

 

数時間後、耳鼻科の診察へ。

ドレーンは抜けていないので、ポシェットのようなものを首から下げて

廃液を入れて歩いて向かう。

咽頭ファイバースコープでの検査はやはり痛くて涙が出る。

覚悟して臨むのに毎回想像を超えた痛みを感じるのが辛い。

 

検査結果は良好で、声に問題はないらしい。

一番恐れていた後遺症は声に関するものだったので安心した。

 

部屋に戻ると内分泌外科の先生が診察に来た。

廃液が少なかったらしく、ドレーンを抜くことになった。

予想よりずっと早くて驚いた。

ドレーンが刺さってた時はガーゼで覆われていたし、

抜いてからはテープを貼ったので傷を直接目にすることは無かった。

「次の日まで様子を見たら、明後日にはもう退院でいいですよ」と言われる。

トントン拍子だ。

 

その後はひたすら暇だった。

微熱があり、身体がだるいのでぼんやりしながら漫画を読んで1日が過ぎた。

動くと傷が痛むのでベッドの上で大人しくしていた。

誰かに首を絞められているような違和感と、皮膚をはがした部分の感覚の麻痺を感じた。

(内視鏡手術は鎖骨の数cm下から首まで皮膚を剝がすので

従来法に比べ感覚が麻痺する範囲が広いらしい)

 

↓参考程度に傷の画像を貼るので、苦手な方はご注意を。

テープで見えないので大丈夫かとは思いますが

 

 

参考画像:傷口の位置。ぼかしていないエリアが麻痺部分



【術後2日目】

食事が粥から普通の米飯になった。

シャワーの予約が取れたので昼前に浴びる。

動かし方によっては傷が痛むが、ロキソニンで対処できる程度。

首元の違和感は変わらず、少々微熱もあり身体もなんとなくだるいがその程度。

 

先生から明日には退院できると言われた。

術後に熱が出るのは普通なので、微熱程度なら退院に支障はないらしい。

 

【術後3日目・退院日】

朝、偉い先生を筆頭に内分泌外科の先生たちが回診に来た。

「声も出ているし、腫れてもいない、術後の経過は良好」とのこと。

質問があるか聞かれたので

「首が締められているような感覚は、いつかなくなりますか?」と聞いたところ

「徐々に良くなるが数か月、数年単位になる。ストレッチを積極的に取り入れてほしい」とのこと。

いつか治ると分かり安心した。

 

挿管で口内に大きめの口内炎が出来ていたので、

口内炎の薬と痛み止めを処方してもらい退院した。

 

5日ほどしか入院していないのに、外は温かくなっていて驚いた。