入院手記まとめ(前編)【甲状腺内視鏡手術】

 

私が内視鏡による甲状腺摘出手術について調べた際、

患者視点で詳細に記載しているサイトが見当たらなかったので

入院生活の流れや感じたことについて、手術前後に分けてざっくり書いてみます。

 

書いた後に、感性が独特で参考にならないかもしれないと思いましたが

まあ...まったく情報が無いよりはマシですよね!

 

 

【ざっくり情報まとめ】

・20代半ば女性

・既往歴無し

・2023年2月末に内視鏡による甲状腺左葉の摘出手術

・術後3日で退院、先生曰く術後の経過が良好な例

・余談ですが、学生時代に医療系の専攻にいたので好奇心強めです

(勉強不足すぎて胸を張れませんが笑)

 

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【手術2日前】

祝日の関係で手術2日前に入院(通常は前日らしい)

午前中にPCRを受け、昼過ぎに陰性が証明されたため入院手続き。

やったことは

身長・体重の計測、足首の長さの計測(手術時に履く弾性ストッキングのサイズの参考にするらしい)、薬剤師さんとの服用薬の確認、レントゲン撮影、麻酔科の受診など。

 

全身麻酔は初めてなので緊張しつつも、初めて聞く話が多く面白い。

つい、いつものクセで必要情報以外にもパンフレットの隅々まで目を通してしまう。

子供の手術には吸入麻酔薬を使用するが、においをごまかすためにマスクにフレーバーをつけるらしい。バニラ・イチゴ・オレンジ・メロンの4種があり好みのものを選べるとのこと。

(どの程度麻酔薬のにおいが誤魔化せるんだろう。むしろ混ざって謎の匂いになったりしないんだろうか)、など余計なことを考えていた。

ちなみに大人は点滴なのでフレーバーを選ぶ機会が無い。残念。

 

 

受診を終えるとやることがなく、病室でひたすら漫画を読みふけっていた。

22時消灯だが21時には電気を暗くするように、とのこと。

普段22時は残業している時間なので、慣れない環境も相まって全く寝付けなかった。

1泊7700円課金して4人部屋に入院したのだが、周りの患者さんはとても静かで、自分が寝返りを打つたびに、シーツの擦れる音やベッドが軋む音を大きく感じた。

 

【手術1日前】

主治医による術前説明。実家から母に来てもらい同席してもらった。

術式の他、後遺症などについて説明があったが、私はセカンドオピニオンで聞きつくしていたし、母にもあらかた事前に話していたので、特に問題はなく説明が終わった。

 

私が先生に「摘出した甲状腺は自分で目にすることはできますか?写真で良いので見たいです。」とお願いすると、「そういう患者さんも結構いますよ」と快諾してもらえた。生きているうちに自分の臓器を目にすることが出来る人間なんて、そうそういないのでせっかくの機会を活かしたい。そう話すと、母が隣で「全くこの子は...」と呆れていた。

 

術前説明が終わると特にやることがない。ベッドの上でひたすら漫画とアニメを楽しみ続けた。余談だが手術前日に読むフラジャイル(医療系の漫画)は気分が重くなるので精神衛生上あまりよろしくなかった。

18時に夕食。次の日が手術なので21時以降は食べることが出来ず、24時以降は水分を摂ることが出来ない。

前日同様、寝付けないことが予想されたので看護師さんにお願いして睡眠薬をもらった。おかげですっきり熟睡。

 

【手術当日】

セカンドオピニオンの時の偉い先生や主治医、他の先生など白衣の集団による回診があった。(前日だったかも...記憶があやふや笑)

先生から研修中の学生に首元を触らせてもいいかと聞かれ快諾。

個人的には「学生さんの勉強になるなら、私の甲状腺なんていくらでも触ってくださいよ!もっと硬さとかグッと確かめなくて大丈夫ですか??」という気持ちだったが、口にすると変人っぽいのでやめておいた。

 

手術は午後になるとのこと。のどの渇きと空腹がひどいので、旧劇場版エヴァンゲリオン(結構グロテスクなシーンがある作品)を見ることで食欲をごまかしていた。(万人は向かない作戦だが個人的には効果があった)

 

昼過ぎ。呼ばれたので手術着に着替え、弾性ストッキングを履き、看護師さんと共に手術室へ。台に寝かされ、主治医・麻酔科医・看護師等様々な人から声をかけられる。

「緊張していますか?」と看護師さんが柔らかい微笑みを浮かべて問いかけてきたので、強く頷く。

タオル1枚で色んな人に囲まれてるし、今から首元を切り開かれるのだから、このシチュエーションで緊張しない人は余程の強心臓だ。

 

諸々の手順を踏んで全身麻酔

(麻酔が効かなかったらどうしよう)と一瞬不安に思ったが杞憂だった。

薬を点滴で入れると、数秒で視界がぼんやりし始めて

(すごい!アニメや漫画の失神シーンみたいだ!本当にこうなるんだ!)という馬鹿な感想を抱いた。

 

(それにしても麻酔薬を開発した過去の研究者には頭が上がらないな。

うろ覚えだけど、江戸時代に初めて全身麻酔の外科手術を成功させた華岡青洲は、奥様とお母様を実験の犠牲にしたとか大学で習ったし。

過去の数多の先人の努力と覚悟と犠牲があるからこそ、今の私は無痛で手術を受けられるわけで、ありがたい話だよなぁ...)などと雑念を抱いているうちに意識が遠のいた。

ありがとう華岡さん。現代の麻酔薬、邪念の塊のわたしにも効き目は抜群です...。

 

→後編に続く